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特定疾患療養管理料とは?2026年改定と算定要件

2026年6月26日 ・ 下地

特定疾患療養管理料の点数、対象疾患、算定要件を、医療機関の実務向けに整理します。2026年6月以降は、長期処方・リフィル処方の院内掲示と、NSAIDs投与中の胃潰瘍・十二指腸潰瘍の除外確認が重要です。生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料の整理、レセプト点検、患者説明まで確認できます。読了目安は約15分です。


【結論】2026年6月以降に最初に確認すべきこと

2026年6月以降に特定疾患療養管理料を点検するなら、最初に見る項目は4つです。院内掲示、対象疾患、主病判定、診療録記載を順番に確認してください。特に長期処方・リフィル処方の掲示と、NSAIDs投与中の胃潰瘍・十二指腸潰瘍の除外は、令和8年度改定で追加された実務上の重点項目です(経過措置の有無は最新通知で再確認)。


まず確認する4項目

優先確認項目実務で見る場所見落とした場合のリスク
1長期処方・リフィル処方の院内掲示待合室、受付、院内掲示、必要に応じてホームページ施設基準・算定要件の確認漏れ、患者説明におけるトラブル
2特定疾患療養管理料対象疾患と対象外疾患主病名、傷病名マスター、医科点数表対象疾患名一覧2024年改定後の高血圧・糖尿病・脂質異常症(生活習慣病管理料)の誤算定
3胃潰瘍・十二指腸潰瘍とNSAIDs処方病名、処方内容、薬剤分類査定・減点の対象
4診療録記載と特定疾患療養管理料管理料の算定診療録内に記載されている指導内容、算定項目一覧返戻・査定、監査時の対象

厚生労働省の令和8年度診療報酬個別改定項目では、特定疾患療養管理料などの要件に、28日以上の長期投薬またはリフィル処方箋への対応を患者に周知することが追加されています。具体的には、当該処方が可能であることを保険医療機関の見やすい場所に掲示し、患者から求められた場合には状態を踏まえて対応する扱いです(令和8年度個別改定項目)。


対応が遅れると起きるリスク

院内掲示の不備はレセプト上すぐ発見されにくい一方、監査や患者からの問い合わせで問題化する可能性が指摘されています。現場にいる実務経験者も、掲示や説明が不十分だと患者の不信感につながると懸念しています。。

まずは6月請求前に、次の順で点検してみましょう。

  1. 2026年6月1日時点で長期加算またはリフィル処方箋対応可能である旨を院内やホームページ等に掲示されているか確認する。
  2. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍が主病名の患者で、NSAIDs投与中に算定していないか確認する。
  3. 高血圧・糖尿病・脂質異常症のみを主病にしていないか見る、場合によっては病名整理する。
  4. 月2回算定時は、2回目の特定疾患に対する療養上必要な管理の内容が診療録に記載されているか見る。。
  5. 特定疾患処方管理加算の算定漏れ・誤算定を注視する。

診療所で225点を月1回算定する患者が100名いる場合、医療費ベースの月間影響額は22万5,000円です。月2回なら45万円です。これは「100名×225点×10円×算定回数」の試算であり、実際の影響額は医療機関区分、患者数、算定回数、返還判断により変わります。

対象患者数月1回算定の医療費ベース月2回算定の医療費ベース
50名112,500円225,000円
100名225,000円450,000円
200名450,000円900,000円

特定疾患療養管理料とは

特定疾患療養管理料は、厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者に、治療計画に基づいて療養上必要な管理を行った場合に算定する医学管理料です。医学管理料とは、診察や投薬そのものではなく、継続的な療養管理や生活指導などを評価する診療報酬の区分です。

令和8年度医科診療報酬点数表では、B000特定疾患療養管理料として、診療所225点、100床未満病院147点、100床以上200床未満病院87点が示されています。算定は月2回までです。


点数と算定回数

医療機関区分点数月2回算定時の最大点数医療費ベース
診療所225点450点4,500円
許可病床数100床未満の病院147点294点2,940円
許可病床数100床以上200床未満の病院87点174点1,740円

診療報酬は原則として1点10円で計算します。診療所225点なら医療費ベースで2,250円です。患者が3割負担なら675円が目安です。ただし、実際の会計は他の診療行為、薬剤、検査、自己負担割合で変わります。窓口負担割合は年齢や所得で異なるため、患者説明では厚労省の窓口負担割合の案内も踏まえて説明します。


算定できる医療機関

特定疾患療養管理料を算定できるのは、無床診療所、100床未満病院、100床以上200床未満病院です。200床以上の病院はこの点数区分の対象外です。

また、情報通信機器を用いて医学管理を行う場合は、所定点数に代えて別点数が定められています。令和8年度医科点数表では、診療所196点、100床未満病院128点、100床以上200床未満病院76点です。オンライン診療で扱う場合は、施設基準や診療内容の確認が必要です。


初診・退院後1か月以内の扱い

初診日、または初診日から1月以内に行った管理は初診料に含まれます。入院中の患者や、退院日から1月以内に行った管理は入院基本料に含まれます。

そのため、対象疾患の病名があっても、初診直後や退院直後はそのまま算定できません。現場の実務経験者によると、初診から1か月経過していない患者では、主病名や処方内容を理解していないと算定漏れ・誤算定が起きやすいと指摘しています。


対象疾患・病名一覧

特定疾患療養管理料の対象疾患は、最新の告示・点数表・傷病名マスターで確認します。記事では実務で確認頻度が高い疾患を中心に整理します。完全な病名一覧(令和6年まで)を院内資料にする場合は、最新版の電子点数表や傷病名マスターで照合してください。


対象疾患一覧は一次情報で確認する

令和8年度の個別改定項目では、対象疾患として、甲状腺障害、虚血性心疾患、不整脈、心不全、脳血管疾患、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などが確認できます(個別改定項目について)。

分類主な対象疾患例実務上の注意
内分泌・代謝甲状腺障害、処置後甲状腺機能低下症生活習慣病3疾患と混同しない
循環器虚血性心疾患、不整脈、心不全降圧薬だけで高血圧主病と決めない(心臓の負担を減らす役割として扱う可能性)
脳血管脳血管疾患、一過性脳虚血発作など主病としての管理実態を見る
呼吸器慢性気管支炎、COPD、肺気腫、喘息吸入薬等(外用薬)の長期処方において加算漏れに注意
消化器胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性肝疾患、慢性膵炎2026年6月1日以降は以降はNSAIDs投与不可
悪性・感染症等悪性新生物、結核など管理内容と他管理料の併算定可能か確認

高血圧・糖尿病・脂質異常症は対象外

2024年診療報酬改定で、高血圧、糖尿病、脂質異常症は特定疾患療養管理料の対象疾患から徐外されました。これらを主病とする場合は、生活習慣病管理料(I)または生活習慣病管理料(II)で算定します(生活習慣病に係る疾病管理のイメージ)。

現場回答では、改定直後に高血圧・糖尿病・脂質異常症を特定疾患療養管理料で誤算定した例がありました。原因は、管理料変更や入力変更の漏れです。防止策は、医師、会計担当者、レセプト点検者のダブルチェックが重要です。

ただし、脂質異常症という言葉だけで判断すると危険です。令和8年度の個別改定項目では、リポ蛋白代謝障害及びその他の脂血症について、家族性高コレステロール血症等の遺伝性疾患に限る扱いが示されています。下地氏の回答でも、家族性高コレステロール血症を生活習慣病と誤解しやすい点が挙げられています。


胃潰瘍・十二指腸潰瘍はNSAIDs投与の有無を確認

2026年改定では、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の扱いに重要な変更があります。消化性潰瘍のある患者への投与が禁忌である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与を受けている場合は、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍の対象から除外されます(令和8年度個別改定項目)。

NSAIDsとは、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェンなどに代表される非ステロイド性抗炎症薬です。医療安全上も注意が必要で、厚労省の重篤副作用疾患別対応マニュアルでは、NSAIDsと消化性潰瘍の関係が解説されています(重篤副作用疾患別対応マニュアル 消化性潰瘍)。

レセプト点検では、次の3条件を確認します。

  • 主病または病名に胃潰瘍・十二指腸潰瘍の有無。
  • 同月にNSAIDsの処方がされている。
  • 同月に特定疾患療養管理料または特定疾患処方管理加算がある。

実務経験者の声として、該当患者を見つけた場合、医師に処方意図、病名変更の要否、算定継続の可否を確認する運用が推奨されています。事務側だけで病名削除や算定中止を自己判断で進めないことが重要です。


算定要件と診療録記載のポイント

特定疾患療養管理料の算定要件は、対象疾患の病名だけで算定できるわけではありません。主病だけでなく主病に対しての治療計画、療養上必要な管理、診療録記載が必要です。対象病名があり、それに対する処方をしただけ、前回と同じ療養上必要な管理についても文言をコピーしただけでは、監査や返戻の対象となります。


算定要件の基本

要件確認する内容点検時の見方
主病厚生労働大臣が定める疾患が主病か主病チェック、診療録、管理内容を見る
治療計画継続管理の方針があるか投薬、生活指導、検査予定と内容がきちんと一致しているか確認
療養上の管理服薬、運動、栄養、症状確認などを行ったか診療録に具体的な指導内容があるかチェック
回数月2回まで同月の算定回数を確認する
除外期間初診・退院後1月以内ではないか初診日、退院日、受診日を確認する

特定疾患療養管理料は、かかりつけ医が計画的に療養上の管理を行うことを評価する点数です。令和8年度個別改定項目でも、その位置づけを踏まえて対象疾患の要件を見直すと説明されています(個別改定項目について)。


診療録に残すべき内容

診療録には、少なくとも次の要素を残すと点検しやすくなります。

  • 主病に関する患者の病状
  • 治療計画または継続管理の方針
  • 服薬状況、運動、食事、生活上の注意点
  • 検査結果を踏まえた診断
  • 次回確認する事項
  • 患者からの質問と回答

月2回算定する場合は、2回目の記載が特に重要です。実際に1回目と同じ経過観察だけでなく、2回目に新しく確認した症状、前回指導後の変化、検査結果への対応、季節的な注意点を記載する必要があります。

記載例は次のように作れます。

場面記載例
喘息の継続管理喘息症状は夜間増悪なし。吸入手技を再確認し、発作時の受診目安を説明。次回は吸入薬残量と咳嗽頻度を確認。引き続き、激しい運動は避けてください。
慢性心不全の管理体重増加なし。息切れは前回同等。塩分摂取と浮腫のセルフチェックを説明。利尿薬変更はなし。胸痛等あれば早めに受診してください。
2回目来院時感冒症状で受診。主病の状態悪化はないが、内服継続と増悪時対応を説明。前回指導内容の理解を確認。

算定できない典型例

典型例理由点検方法
初診日または初診から1月以内初診料に含まれる初診日と算定日を診療録より確認
退院日から1月以内入院基本料に含まれる退院日と外来算定日を確認
高血圧・糖尿病・脂質異常症のみが主病2024年改定後は対象外主病名と生活習慣病管理料病名を確認
胃潰瘍・十二指腸潰瘍でNSAIDs投与中2026年改定後の除外対象主病名と薬剤内容を確認
在宅療養指導管理料等の対象管理指導管理料に含まれる場合がある併算定の可否を確認
管理内容が診療録にない療養上の管理の記載がないと算定不可診療録を確認、なければ医師へ記載を依頼

2026年改定の変更点

2026年改定で特定疾患療養管理料の実務に影響する変更点は、主に2つです。1つ目は、NSAIDs投与中の胃潰瘍・十二指腸潰瘍が対象から除外されること。2つ目は、長期処方・リフィル処方に対応可能である旨の院内掲示が求められることです。


NSAIDs投与中の消化性潰瘍は対象外

令和8年度改定では、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍について、消化性潰瘍のある患者への投与が禁忌であるNSAIDsの投与を受けている場合を除く扱いになりました(令和8年度個別改定項目)。

改定前改定後
胃潰瘍、十二指腸潰瘍が対象疾患に含まれる胃潰瘍及び十二指腸潰瘍は対象。ただし、該当NSAIDs投与中は除外

点検は、病名だけで完結しません。病名、薬剤、主病、算定項目全てを同月に確認します。胃・十二指腸潰瘍を主病とする患者にNSAIDsが処方されている場合、算定上の矛盾を念頭に医師へ確認することが望ましいです。。


長期処方・リフィル処方の院内掲示が必要

2026年6月以降は、患者の状態に応じて28日以上の長期投薬またはリフィル処方箋を交付できる旨を、見やすい場所に掲示することが求められます。厚労省は長期処方・リフィル処方の患者向け情報も公開しています(長期処方・リフィル処方の活用について)。

掲示物は、厚労省の掲示例を参考にしつつ、自院の運用に合わせて作成します(掲示例PDF)。ただし、「希望すれば必ず長期処方になる」と誤解される表現は避けます。最終判断は、患者の病状、薬剤、服薬状況、医師の診療判断に基づきます。

担当作業期限の目安
院長・事務長掲示要件と文言の確認6月診療開始前
医事課掲示物作成、掲示場所確認6月請求前
受付・会計患者から聞かれた時の説明統一掲示開始時
レセプト担当掲示状況と算定患者の初回点検6月レセプト点検

2026年6月前後の対応スケジュール

5月中に準備できる場合は、院内掲示物(院内ホームパージ等)、患者説明、レセコンの傷病名マスター点検を先に固めます。6月以降に未対応が判明した場合は、すぐに掲示状況を整え、6月請求前に算定患者を抽出しましょう。

現場の実務経験者の意見として施設基準を管理する院長または事務長が主導し、担当者と期限を決める方法が推奨されています。掲示後は、別の担当者が基準内容と掲示物を照合し、完了署名を残す運用も有効です。


生活習慣病管理料との違いと判断フロー

特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の違いは、対象疾患と管理の実態です。高血圧・糖尿病・脂質異常症を主病とする場合は、原則として生活習慣病管理料の領域です。一方、喘息、慢性心不全、甲状腺疾患などの残存疾患が主病で、療養上の管理を行う場合は、特定疾患療養管理料の対象になります。


対象疾患の違い

比較項目特定疾患療養管理料生活習慣病管理料
主な対象厚労省が定める特定疾患高血圧、糖尿病、脂質異常症
算定回数月2回まで月1回
代表的な実務課題対象疾患、主病、他管理料との併算定可否、診療録内の管理指導内容の有無療養計画書の発行、検査、包括範囲、他管理料との併算定可否
処方管理加算薬剤内容が主病名と合えば算定可能生活習慣病管理料算定患者では算定不可

2024年改定後、支払基金の資料では、対象外疾患となった糖尿病・脂質異常症・高血圧での特定疾患処方管理加算が査定された例が示されています(令和6年7月審査分の審査状況)。特定疾患療養管理料本体だけでなく、処方管理加算も併せて確認してください。


主病が複数ある場合の考え方

主病が複数ある患者では、病名の数ではなく、実際に何を中心に治療管理しているかを確認します。。基本的に主病判断は医師が行い、医療事務員は診療録、処方薬、療養計画、算定項目の整合を確認する運用が望ましいです。。

迷いやすい一例としては、循環器内科で降圧薬が処方されている患者です。降圧薬が出ているため高血圧と判断しがちですが、心不全や虚血性心疾患の負荷軽減を目的に処方されている場合もあります。処方薬がどの疾患に対する治療かを確認し、必要なら医師へ確認します。


算定可否の判断フロー

算定可否の判断

特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の判断フロー

  1. 1

    主病が高血圧・糖尿病・脂質異常症のみか

    Yes: 生活習慣病管理料を検討

    No: 次へ

  2. 2

    残存疾患が管理の中心か

    Yes: 特定疾患療養管理料の候補

    No: 算定根拠が弱い

  3. 3

    同月に他管理料と矛盾しないか

    Yes: 次へ

    No: 医科点数表・通知を確認

  4. 4

    診療録で管理内容を説明できるか

    Yes: 算定候補

    No: 記載補強または算定見直し

最終判断は医師の診療内容、診療録、最新の医科点数表・通知・疑義解釈を合わせて確認してください。

分岐Yesの場合Noの場合
主病が高血圧・糖尿病・脂質異常症のみか生活習慣病管理料を検討次へ
残存疾患が管理の中心か特定疾患療養管理料の候補算定根拠が弱い
同月に他管理料と矛盾しないか次へ医科点数表・通知を確認
診療録で管理内容を説明できるか算定記載補強または算定見直し

同一患者で月ごとに管理料を都合よく切り替える運用は注意が必要です。クリニックに勤務しているスタッフは、請求上の都合で月ごとに切り替えると、審査機関ででどの治療を優先しているか分かりにくくなり、減点の対象になる可能性があるという意見がありました。。また、あるスタッフは月途中の主病変更はレセプト上の主病名と管理料に矛盾がが起きやすいとしています。


併算定不可・併算定の注意点

特定疾患療養管理料を算定する際は、他の医学管理料や在宅療養指導管理料との関係を必ず確認します。ここでいう管理料の併算定不可は、医科点数表・通知・疑義解釈・審査機関の取扱いにより判断されます。地域差や個別診療内容の判断もあるため、文面だけで断定しないことが重要です。


点数表上で注意すべき管理料

令和8年度医科点数表では、在宅療養指導管理料の各区分や皮膚科特定疾患指導管理料を算定すべき指導管理を受けている患者への管理費用は、それぞれの指導管理料に含まれるとされています(令和8年度医科診療報酬点数表)。

項目注意点点検方法
在宅自己注射指導管理料など指導管理料に含まれる場合がある同月内の在宅療養指導管理料の算定患者を抽出
皮膚科特定疾患指導管理料管理内容の重複に注意医科点数表B001-8などの算定を確認
ウイルス疾患指導料点数表上の併算定制限を確認医科点数表B001該当項目を確認
生活習慣病管理料主病・管理実態・同月算定に注意主病名と算定項目を確認

支払基金の「審査の一般的な取扱い」は、個別診療内容に一律適用されるものではないとしています。特定疾患療養管理料関連では、慢性維持透析患者外来医学管理料との併算定が原則認められる例も確認できます(支払基金における審査の一般的な取扱い)。


生活習慣病管理料との同月算定

生活習慣病管理料との同月算定は、特に慎重に扱います。高血圧・糖尿病・脂質異常症を主病として生活習慣病管理料を算定しながら、別の残存疾患で特定疾患療養管理料を同月算定するような運用は、主病・管理実態・診療録記載内容の一致が問われます。

実際の医療機関でも

特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の同一月併算定は注意すべき典型例として挙げられています。自院ルールでは、同月に両方が入ったレセプトを抽出し、医師確認を必須にする運用が安全です。


算定可否に迷った時の確認先

迷った場合は、次の順で確認します。

1.最新の医科点数表を確認する。

2.実施上の留意事項通知を確認する。

3.疑義解釈資料を確認する。

4.支払基金・国保連合会の審査情報を確認する。

5.必要に応じて地方厚生局や審査支払機関へ確認する。

現場の実務経験者によると、社保や生活保護の患者は社会保険診療報酬支払基金へ、国保や後期高齢者の患者は国保連合会へ確認する運用が挙げられています。個別症例の判断は、診療内容と審査機関の取扱いを前提にします。


特定疾患処方管理加算との関係

特定疾患処方管理加算は、特定疾患療養管理料と一緒に確認されることが多い加算です。ただし、両者は別の点数です。特定疾患療養管理料は医学管理料、特定疾患処方管理加算は処方料・処方箋料に係る加算です。


特定疾患処方管理加算とは

特定疾患処方管理加算は特定疾患に対する薬剤の処方期間が28日以上の場合に月1回算定できる点数です。令和6年診療報酬改定時に特定疾患処方管理加算1の18点、2の66点での算定は廃止され、特定疾患処方管理加算として56点に引き下げられています。

区分点数算定回数・要件
特定疾患処方管理加算56点特定疾患に対する薬剤が28日以上処方された場合。月1回まで

算定漏れが起きやすい患者

実際にレセコンでORCAを使用しているスタッフは内服薬の28日以上処方時に加算確認メッセージが出るため、算定漏れは起きにくいとされています。一方で、喘息に対する吸入薬など、外用薬のみの長期処方ではメッセージが出ず、手入力が必要になることがあります。

算定漏れ・誤算定を拾うなら、次の条件で抽出します。

点検目的抽出条件
算定漏れ確認特定疾患が主病、主病に対する28日以上処方あり、加算未算定
誤算定確認長期処方はあるが、特定疾患に対する薬剤ではない
2024年改定対応高血圧・糖尿病・脂質異常症のみを主病に加算が残っている
2026年改定対応胃潰瘍・十二指腸潰瘍が主病でNSAIDs投与中に加算が入っている

実務者の体感として、誤算定はクリニックで月1〜2件程度、大規模医療機関で5件程度と示されています。これは公式統計ではなく、医療機関で勤務する医療事務員の声に基づく目安です。


レセプト点検チェックリスト

特定疾患療養管理料の点検は、特定疾患対象患者抽出、対象外疾患、NSAIDs処方、併算定、診療録内の療養管理の記載、処方管理加算の有無の順で行うと効率的です。改定直後は、点数マスターやレセコン設定も確認しましょう。


月次で確認する項目

チェック確認内容見る場所
特定疾患療養管理料の対象疾患が主病か確認診療録内における主病名、医科点数表の病名一覧、傷病名マスター
初診日・退院日から1月以内ではないか確認診療録内の受診日、退院日(他院から紹介の場合は診療情報提供書から受診日や退院日を確認)
月2回までに収まっているか同月算定履歴を診療録から確認、または会計カードから確認、月次途中のレセプトからも確認可能
診療録に療養上の管理内容があるか診療録内における記載
生活習慣病管理料と混同していないか診療録内の治療経過の記録を確認
在宅療養指導管理料やたその他管理料との併算定可否を確認したか医科点数表からB管理料、C在宅管理料確認
特定疾患処方管理加算の漏れ・誤算定がないか診療録や処方箋から処方日数、薬剤内容、加算を確認

新人に教える場合は、まず対象疾患一覧を見せ、代表的な疾患名に慣れてもらいます。その後、実際に算定される患者の診療録とレセプトを一緒に確認すると理解しやすくなります。


2026年6月改定後に追加する点検項目

チェック追加項目対応
長期処方・リフィル処方の掲示がある掲示場所、文言、日付を確認
受付・会計の説明が統一されている説明内容を院内勉強会等で共有
主病が胃潰瘍・十二指腸潰瘍でありNSAIDs処方を発見対象患者はは担当医師へ確認
該当患者の管理料・処方管理加算を確認した算定継続・削除・病名見直しを記録
主病変更の履歴を残した主病の変更時期や内容について診療録内にコメントを残しておく

主病名を見直す際、同月内に2つの管理料が併算定されないよう注意し、レセプトに掲載される主病名に対して不一致が出ないようにする必要があります。


算定漏れを拾う抽出条件

レセコンや電子カルテの画面名は製品ごとに異なります。記事では一般化した抽出ロジックとして示します。

目的抽出条件
特定疾患療養管理料の漏れ対象疾患が主病、初診・退院後1月超、特定疾患療養管理料未算定
対象外3疾患の残存確認主病が高血圧・糖尿病・脂質異常症のみ、特定疾患療養管理料または特定疾患処方管理加算あり
NSAIDs除外確認胃潰瘍・十二指腸潰瘍が主病、NSAIDs処方、特定疾患療養管理料または特定疾患処方管理加算あり
特定疾患処方管理加算の漏れ対象疾患が主病、28日以上処方、特定疾患処方管理加算未算定
他管理料との重複特定疾患療養管理料と併算定注意の管理料が同月にある

ORCAを使用していた医療事務員の経験では、患者照会の病名・診療行為タブで主病名や病名に特定疾患を入れ、診療行為の診療コード欄に特定疾患療養管理料あるいは医科点数表で表示されているB000を指定し、先頭に「-」を付けることで、特定疾患療養管理料が算定されていない患者を抽出できるとされています。具体的な操作については自院のレセコンの取扱説明書等で確認してみてください。

レセプト点検を自院だけで回しきれない場合は、改定直後3か月分だけ外部による点検を入れる方法もあります。特に2026年6月は、院内掲示、NSAIDs処方の除外、特定疾患処方処方管理加算をまとめて見ると点検上効率的です。


患者説明・クレーム対応

患者から「薬をもらうだけなのに、なぜ管理料がかかるのか」と聞かれた場合、受付・会計では制度の趣旨を端的に説明します。算定可否の個別判断を窓口で断定せず、必要に応じて医師や事務長へ引き継ぐ運用にすると良いでしょう。


患者に伝えるべき要点

伝える要点は3つです。

  • 特定疾患療養管理料は、国の診療報酬点数で定められた医学管理の費用です。
  • 病名があるだけでなく、治療計画に基づく療養上の管理を医師が患者に説明し、行った場合に算定します。
  • 窓口負担は自己負担割合や他の診療内容で変わります。

患者が「払いたくない」と言った場合でも、「外せます」「不要です」と窓口で即答するのはやめましょう。算定の根拠は診療内容と診療録にあります。疑義がある場合は、一旦会計を止めて院内で共有し確認します。


受付・会計で使える説明例

30秒で説明するなら、次の言葉が使えます。

引用

本日の診察では、〇〇さんの病気について、お薬だけでなく今後の治療計画や生活上の注意点を含めて医師が管理しています。そのため、国で定められた特定疾患療養管理料が会計に含まれています。詳しい内容の確認が必要でしたら、医師または責任者に確認いたします。

詳しく説明する場合は、次のように続けます。(金額についてのクレーム処理)

引用

特定疾患療養管理料は、病状の確認、服薬状況、生活上の注意、今後の治療方針などを継続的に管理する費用です。点数は診療所の場合225点です。医療費では2,250円で、3割負担の方は675円が目安です。ただし、実際の会計は他の診療内容や負担割合で変わります。

避けたい表現は次の通りです。

NG表現理由代替表現
皆さん払っています制度説明になっていない国の診療報酬で定められた管理料です
病名があるので自動的にかかりますその場しのぎの回答で患者の疑問に対して軽くとらえている表現に聞こえる治療計画に基づく管理を行った場合の費用です
嫌なら外せます不適切な減点に見える算定可否については診療内容を確認します
詳しくは分かりません患者の不信感につながる責任者へ確認します(場合によっては責任者が対応)

クレームを減らす院内運用

患者対応は、説明文よりも運用で差が出ます。あるクリニックでは、院内掲示物や説明があると、窓口で患者から聞かれることが少なく感じたそうです。また他の医療機関でも、トラブル時は患者の話を遮らず、必要なら別室へ案内する運用が効果的だとされています。

院内ルールは、次のように決めておきます。

場面受付・会計の対応引き継ぎ先
金額を聞かれた点数と自己負担割合で説明必要に応じて上司や医事課責任者
算定理由を聞かれた管理料の趣旨を説明医師または看護師
強い不満がある話を遮らず、別室対応を検討事務長、院長
算定可否に疑義がある会計で断定しないレセプト担当、医師

長期処方・リフィル処方の掲示についても、「希望すれば必ず出るもの」ではなく、「患者の状態に応じて医師が判断する」と説明を統一することで誤解を防ぎ、トラブルを避けられます。


よくある質問(FAQ)

Q. 特定疾患管理料が取れる病名は何ですか?

対象疾患は、厚生労働大臣が定める疾患です。甲状腺障害、虚血性心疾患、不整脈、心不全、気管支喘息、慢性気管支炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などが主な代表例です。病名一覧については最新告示・医科点数表・傷病名マスターで確認しましょう。


Q. 特定疾患療養管理料の対象外の疾患は?

高血圧・糖尿病・脂質異常症は、2024年診療報酬改定後、原則として特定疾患療養管理料の対象外となりました。この3つの病名が主病になるとき、生活習慣病管理料の算定となります。ただし、家族性高コレステロール血症等の遺伝性疾患は別扱いとなるため、脂質異常症という言葉だけで判断しないようにしましょう。

また、2026年6月以降は、主病が胃潰瘍・十二指腸潰瘍でもNSAIDs投与中は特定疾患療養管理料の除外対象になります。


Q. 特定疾患管理料の算定要件は?

対象疾患を主病とする患者に、治療計画に基づいて療養上必要な管理を行うことです。月2回まで算定できます。初診日または初診日から1月以内、退院日から1月以内は算定できません。診療録には、管理内容、指導内容、患者の病状、次回の治療方針を残します。


Q. 生活習慣病管理料と同時に算定できますか?

一律に可否を断定せず、主病、管理実態、診療録、同月の算定項目を確認します。高血圧・糖尿病・脂質異常症を主病として生活習慣病管理料を算定している場合、特定疾患療養管理料や処方管理加算との関係に注意が必要です。迷う場合は厚生労働省の最新通知や審査機関へ確認してください。


Q. 患者から「払いたくない」と言われた場合はどう説明しますか?

まず、特定疾患療養管理料は国の診療報酬点数で定められた医学管理の費用だと説明します。次に、薬だけではなく、治療計画、病状確認、生活上の注意などを継続的に管理する費用だと伝えます。算定可否を窓口で争わず、落ち着いて話を聞けるように別室へ案内し、必要なら医師や責任者に引き継ぎます。


まとめ

この記事で確認したい要点

  • 特定疾患療養管理料は、対象疾患を主病とする患者への継続的な医学管理を評価する点数です。
  • 診療所225点、100床未満病院147点、100床以上200床未満病院87点で、月2回まで算定できます。
  • 2024年改定後、高血圧・糖尿病・脂質異常症のみを主病とする場合は対象外です。
  • 2026年6月以降は、長期処方・リフィル処方の院内掲示を確認します。
  • 主病が胃潰瘍・十二指腸潰瘍の際、NSAIDs投与の有無を必ず確認します。
  • 生活習慣病管理料との整理は、主病、治療管理実態、診療録内容の一致で判断します。
  • 患者説明は、制度説明と院内確認フローを分けるとトラブルを減らせます。

次に取るべき行動

まず、院内掲示が2026年6月以降の要件に合っているか確認しましょう。次に、対象疾患患者、NSAIDs投与中の胃潰瘍・十二指腸潰瘍、生活習慣病3疾患のみの主病、処方管理加算の漏れを抽出します。最後に、診療録記載と患者説明文を院内で統一します。

2026年改定後の特定疾患療養管理料について、自院だけで算定漏れ・誤算定を確認しきれない場合は、外部を利用し6月分から3か月分のレセプト点検を重点的に行うことをおすすめします。