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レセプト査定とは?理由一覧・返戻との違い・通知後の対応を解説

2026年8月9日 ・ 濱村

レセプト査定とは、審査で請求点数が減点されることです。通知書、レセプト、カルテ、算定要件を一体で確認します。主に医科診療所の保険請求業務従事者向け記事となっています。読了時間は約12分です。

【結論】レセプト査定の通知が届いたら最初に行う3ステップ

最初に行うことは、対象の特定、根拠の照合、対応の記録です。医学的な妥当性は事務担当だけで判断せず、医師へ確認します。迷う場合は審査支払機関へ照会してください。

1. 通知書と対象レセプトを特定する

増減点連絡書の公式な見方を参考に、次の順で確認します。

  1. 診療年月、受付番号、レセプト番号
  2. 患者名またはカルテ番号
  3. 増減点数と査定対象の請求内容
  4. 事由コードと補正・査定後内容
  5. 通知日、審査支払機関

通知内容を台帳等へ記録し(件数が少ない医療機関は連絡書自体を台帳として使用することも可)、次の手順に進みます。

2. カルテ・算定要件・院内記録を照合する

次に、通知書と対象レセプトの該当部分をカルテと照合します。単月だけでなく、必要に応じて前後月も見ます。

  • 算定要件を満たしているか
  • 病名、診療行為、薬剤の整合性が取れているか
  • 医学的必要性を説明する記録があるか
  • レセコンへの入力漏れや転記誤りがないか
  • 通知等と実際の請求内容が一致するか

事務上の誤りである場合は事務責任者へ報告し、事務スタッフ間で情報共有します。治療内容や投薬等医学的内容は、医師へ確認します。

3. 受入れ・院内確認・再審査検討を分けて記録する

結論は「受入れ」「院内確認」「再審査検討」に分けます。根拠、担当者、期限、再発防止策も台帳へ残してください。

通知受領
対象レセプトと減点箇所を特定
カルテ・算定要件・院内記録を照合
記録や算定に明らかな不整合
減点等の受入れを検討
医学的判断が必要
医師へ確認
算定根拠があり通知と不一致
再審査を検討
結論・根拠・担当者・期限・再発防止策を記録

レセプト査定とは|返戻との違いと審査の流れ

レセプト査定とは審査により請求点数に変更があることを言います。返戻は、確認や訂正のための差し戻しです。次の手続きが異なります。

レセプト査定の意味

審査機関は、療養担当規則や点数表に沿って審査します。傷病名と医薬品の関連性なども確認対象です。詳しくは審査・支払業務の流れで確認できます。

査定は、不正請求と同じ意味ではありません。本記事も個別の診療行為の適否を判定しません。

レセプト査定と返戻の違い

ポイント査定返戻
状態請求点数の全部または一部が変更される確認や訂正のためレセプトが戻る
支払査定後の内容で支払われる再提出しない限り、その請求分は支払われない
最初の対応理由と根拠を照合する返戻理由を確認して訂正する
次の手続き異議があれば再審査請求を検討する訂正後に返戻再請求する

新任者は「再請求」と「再審査請求」を混同しがちです。返戻は再請求、査定は再審査を検討と分けます。返戻への対応はレセプト返戻の対応手順も参考にしてください。

レセプト審査から査定通知までの流れ

社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会は、審査支払機関です。医療機関からの請求を審査し、保険者への請求と医療機関への支払を行います。基本的な流れは次のとおりです。

医療機関がレセプトを提出
審査支払機関が事務点検・審査
適否を判断できる
認容または査定
確認・訂正が必要
返戻
審査支払機関が保険者へ請求、医療機関へ支払
必要に応じて再審査

表示や手続きは審査支払機関で異なります。提出先は通知書で確認してください。

レセプトや再審査請求の提出先は基本的に、患者の加入する保険が社会保険や公費負担医療単独であれば支払基金、国民健康保険や後期高齢者医療であれば国保連合会です。


レセプト査定理由一覧|コード別の意味と確認項目

事由コードは確認の入口です。コードだけでその後の対応を決めることはできません。支払基金と国保連では一部説明が異なる場合があります。

A・B・C・D査定の意味と確認例

以下は、支払基金の表現を基にした実務表です。正式な意味は増減点連絡書の資料で確認してください。

コード意味(支払基金の場合)最初に見る項目・資料院内確認先次の行動
A医学的に保険診療上、適応とならないもの病名、対象行為、薬剤、カルテ医師、医事責任者適応と記録の有無を確認
B医学的に過剰・重複となるもの回数、間隔、同月・前後月の請求医師、医事責任者必要性と重複状況を確認
CA・B以外で医学的に適当でないもの通知理由、経過、症状詳記医師、医事責任者医学的説明が可能か確認
D告示・通知の算定要件に合致しないもの点数表、留意事項、届出、記録医事責任者、算定担当要件と院内運用を見直す

AとCの差は、文言だけでは判断しにくい部分です。Aの場合、病名の不足が主な原因となります。単に病名のみ付記し再審査請求を行っても基本的に復点は難しくなっています(地域の審査支払機関での取り扱いを確認してください)。事務担当はまず対象月のカルテを確認し、医学的内容について医師へ判断を仰ぐ流れが一般的です。

カルテに病名の根拠となる記録があり、レセコンへの病名入力だけが漏れた場合は、説明可能な根拠を整理します。病名不足、検査頻度、算定要件、薬剤との整合が主な確認点となります。

F・G・H・Kなどその他の査定理由

事務・計算上の事由もあります。

コード支払基金の表現主な確認先
F固定点数が誤っているもの点数マスター、算定日、改定後設定、レセコンベンダー
G請求点数の集計が誤っているもの集計処理、レセコン設定、請求データ、レセコンベンダー
H縦計計算が誤っているもの明細と合計、集計ロジック、レセコンベンダー
Kその他通知の具体的理由、審査支払機関への照会

国保連では短縮表現に差があります。通知元の資料を優先してください。

縦覧・入外・突合・事務上の査定理由

支払基金の説明では、点検を次のように区別しています。

  • 縦覧点検: 当月と過去複数月のレセプトを照合する
  • 入外(横覧)点検: 同月の入院と入院外レセプトを照合する
  • 突合点検: 医科・歯科レセプトと調剤レセプトを照合する

突合点検でよくある査定の原因は、調剤薬局から医療機関への疑義照会後の変更が院内データへ反映されておらず、調剤レセプトと不一致になることです。

突合点検の結果、減点等があった場合は突合点検結果連絡書(審査支払機関により名称が異なります)も確認してください。

査定理由の確認表

通知元とコードから最初の確認先を探す

コード意味(支払基金の場合)典型的な確認点資料確認先次の行動
A医学的に保険診療上、適応とならないもの病名、症状、投薬・検査の適応カルテ・病名医師診療録と医学的必要性を確認
B医学的に過剰・重複となるもの回数、間隔、併施内容当月・前後月の履歴算定担当回数と前後月の実績を照合
CA・B以外で医学的に適当でないもの症状経過、検査値、症状詳記通知・症状詳記医師通知理由と診療記録を再確認
D告示・通知の算定要件に合致しないもの告示、留意事項、施設基準点数表・届出医事責任者算定要件と届出状況を照合
F固定点数が誤っているもの点数マスター、改定反映日レセコン設定レセコン担当マスターと請求設定を確認
G請求点数の集計が誤っているもの数量、回数、加算の計算レセコン設定算定担当計算過程と入力値を再確認
H縦計計算が誤っているもの明細と合計、集計ロジックレセコン設定算定担当明細と合計の計算過程を確認
Kその他通知に記載された具体的理由通知・症状詳記医事責任者不明点を審査支払機関へ照会

コードだけで受入れ・再審査を判断せず、増減点連絡書、診療録、算定要件を一体で確認してください。


増減点連絡書を受け取った後の対応と再審査請求

通知受領後は、早く結論を出すことより、査定の内容を理解すること・再審査請求をする場合は根拠を揃えることが重要です。再審査には期限があります。受領後すぐ、院内確認の担当者と期限を決めてください。

増減点連絡書で確認する項目

次の項目を管理台帳へ転記します。

  • 診療年月、受付番号、レセプト番号
  • 患者を院内で特定するカルテ(管理)番号
  • 増減点数、対象の請求内容
  • 事由コード、補正・査定後内容
  • 通知日、審査支払機関
  • 院内担当者、確認期限、結論

受入れ・院内確認・再審査検討の判断フロー

個人情報の取扱いには特に注意し、資料の用途によっては氏名やカルテ番号を削除します。組み合わせによる再識別にも注意します。判断の中心は、カルテや公式文書に根拠があるかです。

判断主な状態次の行動
受入れを検討算定要件と不整合、行為や薬剤に対する病名が無い、記録がない、入力や計算の誤り原因を分類し、点検ルールを見直す
院内確認医学的必要性の判断が必要、資料間に不一致がある医師や責任者へ要点を絞って確認する
再審査を検討記録と算定根拠があり、査定理由へ説明できる期限、提出先、必要情報を確認する

再審査は減点額だけで決めません。説明できる診療記録の有無を重視します。

通知後の判断フロー

記録・医学的根拠・期限の順に確認する

STEP 01

事実をそろえる

  • 算定要件との整合
  • 診療記録の有無

受入れ検討

要件不一致や記録不足が明確なら、院内で影響を確認します。

STEP 02

医学的な説明を確認

  • 医学的必要性の説明
  • 通知理由との不一致

院内確認

医師や算定担当と、記録に基づく説明の有無を確認します。

STEP 03

申出条件を確認

  • 申出期限

再審査検討

根拠と期限がそろった案件を再審査の候補として整理します。

このフローは個別案件の認容可否を決めるものではなく、院内確認の優先順位を整理するための目安です。

再審査請求を検討する場合の流れ

支払基金の審査結果に異議がある場合、再審査請求ができます。支払基金の案内では、対象レセプト1件ごとに手続きします。

  1. 対象レセプトと査定理由を特定する
  2. カルテ、算定要件、検査値、経過を確認する
  3. 医師へ医学的必要性の記載を依頼する
  4. 再審査等請求書またはオンライン用データを作る
  5. 指定の提出先へ期限内に提出する
  6. 結果帳票を確認し、台帳へ記録する

オンライン請求医療機関などは、原則オンライン提出です。添付資料がある場合は郵送と案内されています。

支払基金への申出は原則6か月以内です。同一事項の再度申出は、特別な事情がない限り認められません。国保連の締切と方法は、各連合会の案内を確認してください。

再審査請求の例としては、ある病院で、同月2回目の同一検査が査定されました。症状の変化、検査値、治療判断を症状詳記へ整理し、再審査請求をしたところ認められたといいます。同様の結果を保証する事例ではありません。

検査目的と算定要件が合わず、症状詳記を付けても認められなかった例もあります。重要なのは、要件と記録の整合です。

医師へ確認するときのメモ項目

医師には、結論ではなく判断材料を渡します。公開用テンプレートは次のとおりです。

医師確認用メモ。対象: 院内管理番号/診療年月。査定対象: 診療行為・検査・薬剤名。通知内容: 事由コード/減点点数/査定後内容。事務確認: 算定要件、病名、回数、前後月の状況。確認事項: 医学的必要性、経過、数値、症状詳記の可否。回答欄:。対応: 受入れ/再審査検討/追加確認。院内期限・担当者:。

「何が、どの理由で減点されたか」、対象と理由を短くまとめると、医師が判断しやすくなるでしょう。

原因整理が属人化している場合は、院内フローを見直します。難しいときは、外部の点検支援を検討することも選択肢となります。


レセプト査定率の計算・分析方法

査定率は、件数、点数、金額を分けて見ます。「査定率が高い」だけでは、原因も減収額も分かりません。分子、分母、対象期間を揃えて比較してください。

件数・点数・金額で異なる査定率の計算式

指標計算式分かること
件数率(%)査定件数 ÷ 請求件数 × 100査定が発生した頻度
点数率(%)査定点数 ÷ 請求点数 × 100請求点数への影響
金額率(%)査定金額 ÷ 請求金額 × 100自院で管理する減収影響

支払基金の公式統計は、請求1万件当たり査定件数と、請求1万点当たり査定点数を使っています。

架空の医療機関を例に計算します。

項目請求査定査定率
件数10,000件120件1.20%
点数20,000,000点50,000点0.25%
金額100,000,000円250,000円0.25%

少額査定が多い月は、件数率が高くなります。高点数査定が少数ある月は、点数率が高くなります。

査定率を比較するときの注意点

2026年4月審査分の支払基金統計では、医科・歯科計で請求1万件当たり131.4件でした。請求1万点当たりは34.8点です。公式統計は支払基金分であり、国保連を含む全国横断値ではありません。

比較時は次の条件を揃えます。

  • 診療月または審査月
  • 病院、診療所などの施設種別
  • 診療科と入院・外来
  • 審査支払機関と保険種別
  • 件数、点数、金額の定義
  • 返戻を別集計にしているか

査定と返戻は、性質も分母も異なります。原則として単純合算しません。

査定理由別に改善優先度を決める

改善対象は「件数×影響×再発性×改善可能性」で決めます。

確認すること
件数同じ理由が何件あるか
影響減点点数や金額が大きいか
再発性過去3〜6か月に繰り返したか
改善可能性入力、記録、共有、算定ルールで防げるか

率を計算していない場合も、件数と減点点数を同じ定義で残せば改善の起点になります。


同じレセプト査定を繰り返さない月次管理

査定は、処理だけで終えると再発します。翌月確認までを一つの業務にしてください。

査定履歴を管理台帳へ記録する

取材先では、カルテ番号、診療年月、増減点数、理由を台帳へ残していました。公開用または部門共有用の台帳では、個人を直接特定できる情報を外します。

記入内容
対象月診療月と審査月を分ける
院内管理ID氏名を使わない管理番号
コード・点検A〜K、縦覧、入外、突合など
減点件数、点数、金額を別列にする
原因記録、入力、算定要件、医学的判断など
対応受入れ、院内確認、再審査検討
再発防止マスター、点検、記録、共有の変更
担当・期限実行責任者と確認日
翌月結果再発の有無、未完了事項

月次会議で原因と再発を確認する

件数が少なければ、台帳の回覧でも査定原因は共有できます。同じ理由での査定が増えた場合は、理由別再発防止のための教育資料を作ります。会議では次を確認してください。

  1. 理由別の件数と減点点数
  2. 高額案件と繰り返し案件
  3. 未対応の再審査・院内確認
  4. 原因と修正する院内ルール
  5. 担当者、期限、翌月の確認方法

忘れた頃に再発する可能性もあるため、月次点検の際などに再度情報共有をすることも有効です。再発時には工程の見直しも必要です。

院内点検と外部支援を使い分ける

外部支援は、査定件数だけで決めず、次の条件が重なる場合に検討するといいでしょう。

  • 確認できる担当者が1人しかいない
  • 医学的・算定上の専門判断が不足している
  • 通知処理や医師確認が期限に間に合わない
  • 同じ査定が共有後も繰り返される
  • 月次集計や原因分析まで手が回らない

特に少人数の現場でのスタッフは第三者の確認が必要だと感じる場面もあるようです。スタッフの知識が身につき院内ルールが整うまで、期間限定で支援を受ける方法もあります。

情報共有の重要性

ある診療所では、再共有後に査定件数が減った体感があったそうです。査定情報の共有は査定件数の減少だけでなく、医事スタッフのスキル向上や医療機関の信用の向上にもつながります。

2026年度改定後は、点数表だけでなく、留意事項や疑義解釈も更新されています。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定ページを確認し、レセコン設定、点検表、医師向け記録ルールを確認・更新します。


レセプト査定の事例とよくある質問

ここでは、医科の病院外来と診療所で得た回答を基に情報を整理しています。個別案件では、最新の算定要件と審査支払機関の案内を確認してください。

レセプト査定事例には何がある?

代表例は、病名との不整合、検査間隔、医科と調剤の不一致です。支払基金も審査情報提供事例を公開しています。

レセプトの査定理由はどこで確認できる?

増減点連絡書の事由、請求内容、査定後内容を見ます。その後、カルテ、算定要件、通知元の資料と照合します。

レセプト査定理由AとCはどう違う?

支払基金では、Aは医学的に適応とならないものです。CはA・B以外で医学的に適当でないものとされています。国保連では短縮表現が異なるため、全国共通の意味として扱わず、通知元の資料を優先してください。

査定と返戻はどちらが減収になる?

査定は、査定後の点数で支払われます。返戻は、再請求をしないと支払がされません。最終的な減収は、再請求や再審査の結果で変わります。そのため、通知時点だけで単純比較はできません。

査定で患者への返金が必要になることはある?

査定を認容し、窓口の一部負担金に過徴収が生じた場合は、返金などの対応が必要です。これは厚生労働省の確認事項リストにも示されています。ただし、公費併用や再審査中などは個別確認が必要です。

査定率の計算式は?

件数率は「査定件数÷請求件数×100」です。点数率と金額率も、同じ単位の査定値を請求値で割ります。「査定率」を示す際は、指標、期間、対象施設、審査支払機関を明記してください。


まとめ|査定理由を記録し、次回請求の改善につなげる

  • 査定は点数の変更、返戻は確認・訂正のための差し戻し
  • 通知書、対象レセプト、カルテ、算定要件を一体で確認する
  • 医学的判断が必要な案件は、要点を整理して医師へ確認する
  • 再審査は記録根拠と期限を確認し、成功を前提にしない
  • 査定率は件数、点数、金額を分け、返戻と別に管理する
  • 台帳には原因、担当者、期限、翌月の再発まで記録する
  • 院内で属人化している場合は、期間限定の外部支援も検討する

まず、直近3か月の増減点連絡書を一つの台帳へ集めてください。同じ理由が2回以上あれば、確認工程と共有方法を見直します。取材協力者は、増減点連絡書を「正しい算定を学ぶ教材」と捉えることを勧めています。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の査定可否や再審査結果を保証するものではありません。具体的な案件は、審査支払機関や適切な専門家へ確認してください。