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在宅自己注射指導管理料とは?2026年度の点数・算定要件を解説

2026年8月21日 ・ 濱村

在宅自己注射指導管理料は、自己注射をしていれば単純に月1回請求できるわけではありません。対象薬剤、導入前等指導、当月の指示回数、加算・併算定、記録等を一連で管理・確認する必要があります。

本記事では、令和8年度改定の厚生労働省資料を基に、点数と算定要件を実務の確認順で解説します。初診、転院、残薬、入院などの境界ケースも整理しました。


この記事の位置付け

2026年8月9日時点の一般情報です。個別請求は最新の告示・通知・疑義解釈と患者ごとの事実を確認してください。判断に迷う場合は、管轄の地方厚生(支)局や審査支払機関へ照会します。


【結論】対象薬剤から記録まで5段階で確認する

在宅自己注射指導管理料の確認は、対象薬剤から始めます。次に導入前指導、当月指示回数、加算・併算定、記録の順で見ます。どれか一つでも事実が不明なら、請求前に院内確認または照会が必要です。特に前月のカルテデータをそのままコピーすることや、初診時に新規導入することは避けましょう。


在宅自己注射指導管理料の算定前に確認する5項目

請求前は、次の5項目を同じ順番で確認すると漏れを減らせます。医療事務担当者へのヒアリングでも、病名、薬剤(種類及び処方量)、回数、加算、前回履歴との照合が共通して重視されていました。

5項目を満たすか順番に確認する

  1. 対象薬剤を確認する
    商品名を一般名へ置き換え、特掲診療料の施設基準等別表第九と薬剤固有条件を見ます。適応病名と用法、器具の条件も確認します。
  2. 導入前指導と交付文書を確認する
    教育・指導の内容と、注射のタイミング・単位等詳細な指示文書の交付をしていることを確認します。
  3. 当月の指示回数を数える
    処方本数ではなく、暦月内に在宅で注射するよう指示した総回数を数えます。
  4. 加算と同時算定可否項目を確認する
    導入月、薬剤変更歴、材料の支給、他の管理料を照合します。
  5. カルテ・レセプト記録を確認する
    指導管理の実態と、必要な算定要件やコメントの整合を確かめます。

算定前の確認順序

Noの場合も直ちに算定不可とはせず、表示された確認先で不足している事実を確認します。扱いが確定しない場合は照会します。

  1. 1

    対象薬剤

    別表第九・薬剤固有条件・適応病名を確認

    詳細を確認する
    Yes → 次へ
    No → 不足事実を確認確認先:医師・医事担当者/告示・通知
    要照会 → 院内で確定しない扱いを確認
  2. 2

    導入前指導・文書

    指導内容と交付記録を確認

    詳細を確認する
    Yes → 次へ
    No → 不足事実を確認確認先:医師・看護師/診療録・交付文書
    要照会 → 院内で確定しない扱いを確認
  3. 3

    当月指示回数

    指示・処方・入退院情報を確認

    詳細を確認する
    Yes → 次へ
    No → 不足事実を確認確認先:医師・医事担当者/指示・処方・入退院情報
    要照会 → 院内で確定しない扱いを確認
  4. 4

    加算・同時算定

    導入月・薬歴・算定履歴を確認

    詳細を確認する
    Yes → 次へ
    No → 不足事実を確認確認先:医師・看護師・医事担当者/導入月・薬歴・算定履歴
    要照会 → 院内で確定しない扱いを確認
  5. 5

    カルテ・レセプト記録

    診療録と摘要欄の整合を確認

    詳細を確認する
    Yes → 次へ
    No → 不足事実を確認確認先:医師・医事担当者/診療録・レセプト
    要照会 → 院内で確定しない扱いを確認

判断できない場合は請求前に照会する

照会が必要なのは、公式資料と院内記録を突き合わせても事実や扱いが確定しない場合です。たとえば、前医の導入月が不明な転院例や、過去1年の薬剤歴が追えない変更例が該当します。この場合は前医に照会が必要です。

実務者へのヒアリングでは、インスリン製剤から別系統薬へ変更する際、導入初期加算の対象か審査支払機関に照会した例が挙がりましたが、照会する場合は、厚生労働省が公表している「疑義解釈(Q&A)」や告示・通知を事前確認したうえでの質問が求められます。照会前に、商品名と一般名、変更日、過去1年の処方歴、前医情報等をそろえておくと話がスムーズに進みます。窓口は厚生労働省の診療報酬に関するお問い合わせ先でも確認できます。地域により電話でなくホームページの質問フォームが問い合わせ窓口になっている場合もありますので、確認してから連絡しましょう。


在宅自己注射指導管理料とは―2026年度の点数と1・2の違い

在宅自己注射指導管理料(C101)は、入院中以外の患者に自己注射の指導管理を行った場合の診療報酬です。対象薬剤や詳細要件は、令和8年度診療報酬改定の通知(p.295)で確認します。

在宅自己注射指導管理料は月1回算定する

原則として月1回算定します。ただし、月1回受診しただけでは要件を満たしません。医師が患者の自己注射を管理し、必要な指導を行った実態が必要です。

入院中の患者は原則対象外です。一方、退院時に必要な指導管理を行う場合など、個別の取扱いがあります。同じ月の外来算定と重複しないかも確認します。


2026年度の点数表

2026年6月1日適用の点数は次のとおりです。根拠は厚生労働省の診療報酬の算定方法と現行通知です。

区分対面情報通信機器主な判定条件
1 複雑な場合1,230点1,070点間歇注入シリンジポンプを使用し、状態と投与量を確認・調整
2 イ 27回以下650点566点複雑な場合以外で、当月指示回数が27回以下
2 ロ 28回以上750点653点複雑な場合以外で、当月指示回数が28回以上

1と2の違いはポンプ使用と当月指示回数で判断する

「1」と「2」は、患者の重症度を単純に並べた区分ではありません。まず、間歇注入シリンジポンプを用いる「複雑な場合」かを見ます。該当しなければ、当月の指示総回数で2のイ・ロを分けます。

したがって、インスリンを使っているだけでは1にはなりません。例えば間歇注入シリンジポンプを使用せず毎日自己注射をする場合は2の28回以上で、週1回の注射なら27回以下です。薬剤名だけで点数を決めず、実際の指示を確認します。


在宅自己注射指導管理料の算定要件―対象患者・薬剤・導入前指導

算定要件は、患者、薬剤、導入前指導、交付文書の四つに分けると確認しやすくなります。医療安全上の投与判断と、保険請求上の要件は分けて考えてください。

入院中以外で対象注射薬を自己注射する患者が対象

基本条件は次のとおりです。

確認項目確認する内容主な資料
患者入院中ではないこと、患者自身が自己注射を行うこと診療録(入退院情報、指導内容等)
疾患対象薬剤を用いる医学的根拠があるか診療録(傷病名、検査結果等)
薬剤特掲診療料の施設基準等別表第九に含まれ、固有条件を満たすか診療録(処方)、別表第九、通知
指導管理医師が状態を確認し、必要な指導を行ったか診療録、指導記録

病名や自己注射をしている事実だけで自動的に算定できるわけではありません。糖尿病以外でも、関節リウマチ、骨粗鬆症、喘息などの注射薬が対象になる場合があります。


対象薬剤一覧は一般名と適用条件まで確認する

対象薬剤は、特掲診療料の施設基準等の別表第九で確認します。2026年5月29日には、グセルクマブ製剤などが追加されました。随時改正は厚生労働省の改正ページも見ます。

実務では、次の順番が安全です。

  1. 商品名から一般名を特定する
  2. 一般名が特掲診療料の施設基準等別表第九にあるか確認する
  3. 疾患、用法、器具などの薬剤固有条件を確認する
  4. 当月の指示回数を数える
  5. カルテの指示回数とレセコンの点数区分が合っていることを確認する

実務ヒアリングでは、特掲診療料の施設基準等の別表第九とレセコンの薬剤マスターを併用して確認する運用をしている医療機関がありました。レセコン入力時にエラーが出なかったとしてもそれ自体は算定要件を満たしている証明にはならないため、要件の確認は算定の都度必要です。


導入前は入院または外来等で十分な教育・指導を行う

新規導入前は、原則として入院または2回以上の外来、往診、訪問診療で、十分な教育・指導を行います。自己注射を安全に行えることを確認してから導入します。

アドレナリン製剤などには回数要件の例外があります。ただし、対象患者、器具、使用方法の指導まで省略できるわけではありません。薬剤固有の通知と添付文書を確認します。

投与単位の伝え方にも注意が必要です。「1日3回、合計12単位」だけでは、1回に12単位と誤解される危険があります。「毎食直前に1回4単位」のように、時点と1回量を分けて伝えます。院内で使用する可能性がある手書きの「10U(10単位)」の略称が「100」に見えるおそれもあるため、紙カルテ等の場合は誤解を生まないように院内表記を統一すると安全です。


指導内容を記載した文書を患者へ交付する

導入時は、注射方法や注意点など、詳細な指示内容を記載した文書を作成し、患者へ交付します。交付文書の写しは診療録に貼付又は保存しておくと良いでしょう。

交付文書には、少なくとも次の項目を記載し院内で確認すると実用的です。

  • 薬剤名、注射量、注射時点、頻度
  • 注射手技、保管方法、使用済み針の扱い
  • 注射部位と部位変更の方法
  • 副作用や異常時の対応、緊急連絡先
  • 交付日、説明者

公式通知は診療録への根拠・指示事項・指導内容の要点記載に加え、患者への文書の作成・交付を求めていますが、文書の保存年限や再交付の統一手順までは示していません。紙カルテのポケットに保管する例や、電子カルテへスキャンする例は院内運用です。法定の共通ルールではありません。


在宅自己注射指導管理料の回数の数え方

回数区分は、実際に注射できた回数ではなく、医師が当月に在宅で行うよう指示した総回数で判断します。処方本数、来院回数、次回受診までの日数ではありません。

基準は当月に在宅で実施するよう医師が指示した総回数

まず、暦月の初日から末日までを区切ります。そのうえで、指示開始日、1日当たりの回数、週当たりの回数、予定入院日等を診療録と処方情報から確認します。

ヒアリングでは、前月の回数をそのままコピーすると誤りが発生しやすいため、月の日数と単位変更を時系列で見る運用が挙がりました。入院期間は患者の申告だけでなく、診療情報提供書などでも確認します。


月途中の開始・週1回薬は当月分だけ数える

月途中の指導開始は、開始日から月末までの指示回数を数えます。たとえば31日まである月に、10日から毎日1回なら22回です。この場合は27回以下の区分になります。

週1回薬は、当月に指示した注射日を数えます。月によって4回または5回となるため、通常は27回以下です。ただし、複数薬剤の指示がある場合は、対象となる注射の総回数を確認します。


予定入院と予期せぬ入院では扱いが異なる

予定入院では、当初から在宅しない期間を除いて指示回数を数えます。予期せぬ入院では、指示後に入院したため、当初予定した回数で判定できる取扱いがあります。

ケース回数の考え方主な確認資料実務上の注意
月途中開始開始日から月末まで交付文書(指示日)、診療録(指導内容、処方内容等)月の回数を確認
予定入院既知の入院期間を除く患者所持の入院案内、診療情報提供書指導時点で予定を反映
指導・算定後の予期せぬ入院当初の指示回数で請求できる入院情報(参考)入院判明の時点を残す
退院後に指導退院後の在宅指示分を確認診療情報提供書(入退院日)当月の入院期間を除いた注射回数を計算

月間指示回数の数え方

実際に注射できた回数ではなく、指導時点で当月に在宅で行うよう指示した総回数で判断します。

予定入院・予期せぬ入院の日付は例示で補わず、患者ごとの診療録、処方情報、入退院情報で確認してください。


関連加算と同時算定できない項目

管理料本体とは別に、導入時や材料支給時の加算があります。加算は「使っている」だけでなく、当月の指導や処方など各要件を確認します。

導入初期加算・バイオ後続品導入初期加算

加算点数・期間主な確認事項
導入初期加算580点、月1回、導入月から3か月新規導入から3か月間算定漏れがないか、対面指導、起算月
処方変更時の導入初期加算580点、変更月に1回別製剤への変更、過去1年の使用歴、除外変更
バイオ後続品導入初期加算150点、初回処方月から3か月説明、処方、対面管理、初回処方年月日

導入初期加算は、受診した3回分を自由に選べる制度ではありません。導入月から3か月の期間で判断します。期間中1か月受診がなくても、起算を後ろへずらしません。

実務ヒアリングでは、患者メモに「自己注射開始月」と「導入初期加算の終了月」を残す方法が使われていました。転院時は診療情報提供書、お薬手帳、処方歴を確認します。不明なら前医へ照会します。

バイオ後続品の記載要領本文は「初回処方年月日」の記載を求めています。一方、コード850100408の表示は「初回使用年月日」です。同一年月日の場合は問題ありませんが、日付が異なる場合はこの文言差は解消したものとみなさず、最新マスター、ベンダー、審査側へ確認してください。


血糖自己測定器・注入器・注射針の加算

材料加算は、対象患者、支給物、支給月、数量を確認します。

項目点数主な注意点
C150 血糖自己測定器加算350~1,490点、間歇スキャン式1,250点患者区分と月の測定回数で分岐
C151 注入器加算300点対象注射薬について注入器を処方した月
院外処方の際は算定不可
C153 注入器用注射針加算200点または130点薬と針の処方条件を確認
院外処方の際は算定不可

針付注入器一体型など、材料加算の対象外となる製品があります。前月内容のコピーで注入器加算まで残ると、過剰請求につながります。


外来化学療法等との同時算定に注意する

相手項目・状況取扱い条件・注意
外来腫瘍化学療法診療料・外来化学療法加算原則不可同一月、当該薬剤についてC101は算定不可
関連のない別疾患・別薬剤で行った場合、各々算定可
自己注射に関係する注射手技料・薬剤料原則不可緊急受診時は例外として算定可。摘要事項を確認
自己注射とは関係のない薬剤を注射した場合は手技料・薬剤料等は別に算定可
難病外来指導管理料併算定可C101の「複雑以外」との併算定可を通知が明記
同一医療機関で2つ以上の在宅療養指導管理を実施主たる管理料のみ算定管理料は1つのみの算定。要件を満たせば、管理料を算定するか否かにかかわらず材料加算はそれぞれ算定可
異なる在宅療養指導管理を2医療機関で管理条件付きで可各医療機関が相手方の処方薬を把握

同時算定は、項目名だけでなく、同一月か、異なる薬剤か、異なる疾病かを確認します。


生活習慣病管理料との併算定は主病と薬剤を確認する

2026年改定後は、糖尿病が主病か、自己注射薬が指定4区分かで判断します。

  1. 糖尿病が主病でない場合は、在宅自己注射指導管理料との重複禁止規定の対象外です。
  2. 糖尿病が主病の場合、自己注射薬を確認します。
  3. インスリン、GLP-1受容体アゴニスト、両者の配合剤、チルゼパチドなら併算定できません。
  4. それ以外の併存疾患に対する対象薬なら、2026年改定後は併算定できます。

医療事務員へのヒアリングでも、最初に自己注射薬の種類、次に主病、最後に管理料を確認する順が提案されました。カルテの内容に疑義がある場合は必ず医師へ確認します。


カルテ・レセプトで確認する記録と請求前チェックリスト

記録は、実際に指導管理したことを第三者が追える状態にします。「経過良好、処方どおり」だけでは、何を確認・指導したかが伝わりません。

カルテに自己注射の状況・手技・副作用・指導内容等が必要に応じて記載されているか

指導・記録分類指導・記載項目の例
実施状況頻度、打ち忘れ、残薬、継続可否
手技注射量、部位、操作、保管
安全性・体調変化副作用、低血糖、異常時対応
管理内容検査値、治療方針、指示変更
交付文書交付日、説明・再交付

実務ヒアリングでは、処方数が増えたのに支給日数コメントが変わっていない例や、残薬量が記録されていないのに不自然な減量になっている例が挙がりました。整合しない場合は、医事側で推測せず医師へ差し戻します。


レセプトは薬剤支給・残薬・緊急受診等の摘要を確認する

院内で自己注射薬を支給した場合は、レセプトに医薬品コードと、支給日数を記載します。

緊急受診時に別途自己注射に関わる注射費用を算定する場合は、緊急受診である旨と年月日が必要です。詳細は診療報酬請求書等の記載要領と別表Ⅰを参照してください。

当月に薬剤支給がないだけで一律に算定不可とも断定できません。残薬がある場合が考えられるためです。「残薬あり」をレセプトの摘要欄へ記載する全国一律の規定は現行資料で確認できていないため、必要か否かは地域差があります。指導管理の実態、前回支給量、当月指示、院内・院外処方を確認し、境界例は照会します。


請求前に確認する5項目

確認項目状態確認資料不足時の担当
対象薬剤・病名・固有条件□確認済 □要確認 □非該当処方、別表第九、通知医師・医事
導入前指導・交付文書□確認済 □要確認 □非該当診療録、交付記録医師・看護師
当月指示回数□確認済 □要確認 □非該当指示、処方、入退院情報医師・医事
加算・同時算定□確認済 □要確認 □非該当導入月、薬歴、算定履歴医師・看護師・医事
カルテ・レセプトコメント□確認済 □要確認 □非該当診療録、レセプト医師・医事

ヒアリングでは正確な算定のために前月だけでなく2~3か月前まで確認する運用や、チェック表をデスクに置き確認する方法が挙がりました。

未確認項目が残る場合は、請求を急がず、担当医や医事責任者と診療記録・処方歴・算定履歴を照合してください。院内で判断できない場合は、患者情報の取扱いに注意したうえで、審査支払機関などの公的窓口へ照会します。


初診・転院・残薬・処方変更などのケース別Q&A

境界ケースは、初診、処方なしといった一語だけで結論を出せません。前提条件、根拠資料、不足情報をそろえて判断する必要があります。

初診日に算定できるか

新規導入と他院からの継続を分けます。新規導入では、原則として入院または2回以上の外来等による教育・指導が必要です。このため、初診日に新規導入の通常要件を完了したとは言えません。

一方、他院からの転院自己注射を継続中の患者は別です。診療情報提供書、処方歴、お薬手帳などで、導入状況と薬剤歴を確認します。「初診だから必ず不可」「転院だから新規導入」のどちらも一律には扱いません。


転院・2医療機関で指導管理する場合

転院時は、前医の導入月、当月算定、過去1年の薬剤歴を確認します。不明なら前医へ照会します。導入初期加算の起算を転院日からやり直すことはできません。

異なる疾病について2医療機関が指導管理する場合は、各医療機関が相手方の処方薬を把握する条件で算定できる取扱いがあります。同じ疾病・薬剤を二重に管理するケースは認められていません。


残薬があり当月の薬剤処方がない場合

当月の薬剤処方がないことだけで、指導管理料を一律に可・不可とは判断できません。次の情報を確認します。

  • 前回の支給量と残薬量
  • 当月に在宅で行う注射の指示
  • 医師が行った実施状況・副作用・手技の確認
  • 院内処方か院外処方か
  • 薬剤固有条件と材料加算の処方要件

ヒアリングでは、残薬がある月に前回データをコピーし、注入器加算まで残って査定された経験がありました。対象となる注射薬が処方されていない場合、注入器加算や注射針加算は算定できないため注意が必要です。管理料本体と材料加算を分け、当月の事実を再確認します。


処方内容・薬剤を変更した場合

処方変更では、指導管理料本体の回数区分と導入初期加算を分けて見ます。単位や頻度が変われば、当月指示回数を再計算します。

特掲診療料の施設基準等の別表第九内の別薬剤への変更では、導入初期加算を「変更月に1回算定できる」場合があります。ただし、過去1年に使用した薬剤への変更や、先行品とバイオ後続品の特定の変更は対象外です。変更前後の一般名と過去1年の処方歴を確認します。


マンジャロ・トルリシティ・エピペンの点数を確認する場合

商品名一般名・区分回数・主な注意
マンジャロチルゼパチド別表第九対象。週1回なら通常27回以下。糖尿病主病では生活習慣病管理料と併算定不可
トルリシティデュラグルチド、GLP-1受容体アゴニスト別表第九対象。週1回。糖尿病主病では生活習慣病管理料と併算定不可
エピペンアドレナリン別表第九対象。対象患者(アナフィラキシーの既往のある患者又はアナフィラキシーを発現する危険性の高い患者)、定量自動注射器、十分な使用指導を確認

商品名から点数を直接決めることはできません。一般名、薬剤固有条件、当月指示回数、他の管理料、記録の順に見ます。エピペンの使用指導はPMDAの医薬品情報も確認してください。

ケース結論の方向必要記録要照会となる例
初診・新規導入通常は導入前指導を先に実施指導回数、交付文書薬剤固有の例外が不明
転院・継続前医情報を確認して判断紹介状、導入月、薬歴前医の算定月が不明
残薬・処方なし指導管理の実態を個別確認残薬、当月指示、指導摘要の地域運用が不明
薬剤変更本体と加算を分けて判断変更日、一般名、1年薬歴変更組合せが不明

まとめ―在宅自己注射指導管理料は5項目を順に確認する

在宅自己注射指導管理料は、対象薬剤、導入前指導、当月指示回数、加算・同時算定、記録の順で確認します。前月データをコピーして終わらせず、月の回数、単位数、入院有無、薬剤変更、残薬を毎回見直してください。

医療事務担当者からは、「正しい資料を基に、複数のパターンへ慣れることが大切」との助言がありました。判断経緯を患者メモや院内マニュアルへ残すと、次回点検にも活用できます。


詳細を確認する専門記事

  • レセプトの摘要・コードを確認する:在宅自己注射指導管理料のレセプト記載例
  • 患者交付文書を整える:指導内容とひな形
  • 起算月・薬剤変更を確認する:導入初期加算
  • 2026年度の指定薬剤を確認する:生活習慣病管理料との併算定

レセプト点検・算定運用を相談する

まず、記事内の請求前チェックリストで5項目を確認してください。未確認が残る場合は、医師、医事責任者、公的窓口へ照会します。