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医療DX推進体制整備加算とは?算定要件・点数から2026年改定まで解説

2026年5月28日 ・ 濱村

医療DX推進体制整備加算(通称DX加算)の算定要件・施設基準・点数を、クリニック経営者向けにわかりやすく解説します。2025年10月の見直し内容に加え、2026年6月の電子的診療情報連携体制整備加算への改組まで網羅しました。規模別の収益シミュレーションと、マイナ保険証利用率30%を達成するための実践施策も収録しています。読了目安は約10分です。

【結論】医療DX推進体制整備加算で押さえるべき3つのポイント

まだ対応していないクリニックでも、今から着手すれば十分間に合います。押さえるべきポイントは3つです。

第一に、現行制度(2026年4月時点)では初診時に最大12点を算定できます。月300人来院(うち1割=30人が初診と想定)のクリニックなら年間約4.3万円の収入です。DX体制の整備コストは補助金活用で実質負担は約10〜28万円(都道府県の上乗せ補助の有無で変動)。投資回収は1〜2年で可能です。

第二に、2026年6月から医療情報取得加算と合わせ「電子的診療情報連携体制整備加算」に改組されます。再診時月1回2点が新設され、現行制度合計との比較で約2.0倍の収入になります。内訳: 現行制度 DX1(初診時月1回)13点 + 医療情報取得加算(初診時月1回・再診時3ヵ月に1回)1点。新制度 電子的診療情報連携体制整備加算は、加算1(初診時月1回)15点 + 再診時(月1回)2点です。

月300人来院(うち初診30人)・最上位区分(加算1(初診時)15点)なら年間約6.1万円の増収です。届出期間は5月7日(電子申請は5月25日)〜6月1日必着で自動移行はありません。※但し届出した場合、明細書発行体制等加算(再診ごと1点)が算定できなくなる点にご注意ください。

第三に、新制度のマイナ保険証利用率要件は全区分共通30%に一本化されます。現行制度の段階的引き上げ(最大70%)から大幅に緩和されています。診療所利用率は48.33%(R7.10月)であり、受付での声かけ等の施策で30%超は達成可能です。電子処方箋未導入でも基準を満たす電子カルテ等で要件を満たせば加算2を届け出ることができます

以下のシミュレーションとアクションリストで、自院の対応を確認してください。

医療DX推進体制整備加算とは

医療DX推進体制整備加算(通称DX加算)は、2024年6月の診療報酬改定で新設された加算です。オンライン資格確認や電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスなど、医療DX(医療分野のデジタル化)への対応を評価する仕組みです。

対象は医科・歯科・薬局の全医療機関。算定は初診時・月1回に限られます(現行制度(R8.4月時点)では再診時の算定は不可)。加算3もしくは6から始めて、体制を整えながら上位区分へ進む段階的な対応が可能です。

加算の目的と背景

「経済財政運営と改革の基本方針2022」でマイナンバーカードの普及とオンライン資格確認の推進が掲げられました。この国策を受け、2024年度の診療報酬改定で加算として制度化。医療のデジタル化に取り組む医療機関を経済的に支援する仕組みとなっています。

制度の変遷(2024年新設→2025年見直し→2026年改組)

制度の流れ

2024年新設から2026年改組まで

  1. 2024年6月

    制度新設

    医療DX推進体制整備加算を初診時のみで開始

  2. 2025年4月

    6区分へ再編

    点数を最大12点へ引き上げ

  3. 2025年10月

    利用率要件を変更

    マイナ保険証利用率の段階的引き上げを開始

  4. 2026年3月

    要件を再引き上げ

    加算1の利用率要件は70%へ

  5. 2026年6月

    新制度へ改組

    電子的診療情報連携体制整備加算へ。再診2点・入院加算を新設

加算の区分・点数と算定要件【2025年10月〜2026年5月】

現行制度は「電子処方箋の導入有無」と「マイナ保険証利用率」の2軸で6区分に分かれます。

加算1〜6の区分と点数(医科・歯科・薬局別)

以下の表は令和7年10月以降の医療DX推進体制整備加算の見直し(具体的な利用率については令和8年3月に更改)に基づきます。

区分電子処方箋利用率医科歯科薬局
加算1導入済み12点11点10点
加算2導入済み11点10点8点
加算3導入済み10点8点6点
加算4未導入10点9点対象外
加算5未導入9点8点対象外
加算6未導入8点6点対象外

※加算4〜6は薬局では算定不可。医科クリニックの場合、電子処方箋(発行体制だけでなく、電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できること)を導入済みなら加算1(12点)が最高区分です。

施設基準の一覧

共通要件(全区分で必要な8項目)施設基準の詳細

項目内容
レセプトの電子請求
オンライン資格確認(マイナ保険証)の体制整備
診察室等での診療情報の閲覧・活用体制
マイナ保険証利用率が一定割合以上
医療DX推進について院内掲示
ホームページにも掲載(ホームページがない場合は経過措置)
マイナポータルの医療情報に基づく健康管理相談体制

追加要件(区分別)

項目内容必要な区分
電子処方箋の発行体制及び電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制加算1〜3
電子カルテ情報共有サービス対応(令和8年5月31日まで経過措置あり区分により必要

算定要件の詳細(初診時・月1回)

初診時に限り月1回算定できます。同一患者でも月が変われば再算定が可能です。オンライン資格確認を行うことが原則であり、電子資格確認に関する情報の院内掲示も求められます。

経過措置と小児科特例

マイナ保険証利用率の段階的引き上げ(現行制度、〜2026年5月)出典

区分2025年10月〜2026年2月2026年3月〜5月
加算1・4(高)60%70%
加算2・5(中)40%50%
加算3・6(低)25%30%

※上記は現行制度の要件。2026年6月以降の新制度では**全区分共通30%**に一本化されます。

小児科特例: 6歳未満の患者割合が30%以上の医療機関では、利用率基準が3ポイント低減されます

利用率は3ヶ月前の実績で判定されます。

マイナ保険証利用率の要件と現状【30%基準は達成可能か】

結論から言えば、30%は十分に達成可能です。診療所平均48.33%であり、多くの診療所が達成しています。

現行制度(〜2026年5月)では利用率要件が最大70%まで引き上げられましたが、2026年6月の新制度では全区分共通30%に一本化されました(令和8年3月5日告示)。現行制度の70%が懸念だった経営者の皆様にとっては朗報でしょう。

全国の利用率データとクリニックの実態

マイナ保険証利用率

全国平均と医科診療所・薬局の利用率(%)

30%基準
全国平均(受付)
全国平均(レセプト)
医科診療所
薬局
49.89%
63.24%
66.53%
57.88%
0%50%100%
全国平均と医科診療所・薬局のマイナ保険証利用率
指標マイナ保険証利用率
全国平均(受付)49.89%
全国平均(レセプト)63.24%
医科診療所66.53%
薬局57.88%

出典: 全国平均(受付件数ベース)は保団連(2026年2月)、全国平均(レセプト件数ベース)・医科診療所・薬局は厚生労働省(2025年12月)。破線は新制度の基本要件(30%)です。

2025年10月から計算方式がレセプト件数ベースに変更されました受付件数ベースより約10ポイント高く出る傾向があります(2025年10月時点でレセプト件数ベース47.26%に対し受付件数ベース37.14%)。つまり受付件数ベースで25%の医療機関でも、レセプト件数ベースなら35%前後に達している可能性が高いです。

m3.comの調査では開業医の約半数でマイナ保険証利用率が50%未満(2025年12月)。多くのクリニックが同じ課題を抱えている状況です。

利用率を向上させる実践施策

受付での声かけスクリプト例

場面トーク例
カード確認「マイナンバーカードをお持ちでしょうか?」
未持参時「次回来院時はぜひお持ちください」
メリット訴求「お薬の重複を防げます」「医療費控除の申告時に便利になります」「救急の際に情報が入っていると安心です」等

声かけに加え、院内ポスターやWebサイトでの案内も有効です。群馬県の医療機関向け参考情報では、声かけや操作補助といった取組事例が紹介されています。

算定による収益インパクト【クリニック規模別シミュレーション】

DX加算は「取れるのに取っていない」ケースが意外と多いです。規模別のシミュレーションで、自院の金額感を把握しましょう。

概算シミュレーター

現行制度と2026年6月以降の収入比較

年 約4.3万円

3,600

年 約11.9万円

9,900

現行制度新制度

前提: 初診率10%、再診率90%、1点=10円。新制度は再診月1回2点を含めた概算です。

旧制度のDX加算(初診のみ)との比較では大幅な増収ですが、旧制度にも医療情報取得加算(初診1点 + 再診1点、3ヶ月に1回)が存在しました。公正に比較すると約2.0倍の増収となります。

※実際の初診率は医療機関によって異なるため、自院の数値で再計算を推奨します。

※実際には新制度では再診時の明細書発行体制等加算(1点)が算定不可となります。

DX体制整備のコストと投資回収

項目実質負担回収期間(加算1・月300人)
電子処方箋導入約10〜28万円約1〜2年
電子カルテ(未導入の場合)約100〜200万円要個別試算

電子処方箋の補助金は2026年9月30日まで延長済みです。「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)を活用すれば、電子カルテの導入・改修も通常枠の補助率1/2で対応できます。

2026年6月改定:電子的診療情報連携体制整備加算への改組

2026年6月1日から、DX加算と医療情報取得加算が統合されます。名称は「電子的診療情報連携体制整備加算」に変わりますが、単なる名称変更ではありません。再診・入院への対象拡大を含む制度拡充です。

現行制度からの主な変更点

以下は令和8年度診療報酬改定に基づく変更点の比較です。

項目現行制度新制度(2026年6月〜)
加算名DX加算 + 情報取得加算(2つ)電子的診療情報連携体制整備加算(1つ)
初診最大13点(DX12点+情報取得1点)最大15点
再診情報取得のみ1点(3ヶ月に1回)2点(月1回)
入院なし加算1: 160点 / 加算2: 80点
マイナ利用率段階的(最大70%)全区分共通30%
明細書発行体制等加算併算定可併算定不可

新しい施設基準と共通8項目

共通施設基準8項目(イ〜チ)は現行制度とほぼ同じです。最大の変更点は利用率要件が30%に統一されたことです。

区分別(初診時)の要件は以下のとおり(令和8年度改定告示令和8年度診療報酬改定の概要 p.195)。

区分必要な施設基準
加算1(15点)共通8項目 + リ(電子処方箋)+ ヌ(電子カルテ情報共有サービス)すべて必須
加算2(9点)共通8項目 + リ・ヌ・(10)(地域医療情報連携NW)のいずれか1つ以上
加算3(4点)共通8項目のみ

共通8項目:

  1. オンライン請求を行っている。
  2. 診療報酬明細書を患者に無償で交付している。
  3. オンライン資格確認を行う体制を有している。
  4. オンライン資格確認等システムから取得した診療情報を診察室等で閲覧又は活用できる体制を有している。
  5. マイナ保険証利用率が30%以上。
  6. マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有している。
  7. 明細書発行に関する事項、医療DX推進の体制に関する事項等について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示している。
  8. 7の内容を自院ウェブサイトに掲載している。

経過措置があります。

  1. 電子カルテ情報共有サービス(ヌ): 国等が提供する電子カルテ情報共有サービスの場合は、取得情報の活用体制があれば「当面の間」充足とみなされる。実務上の目安は2027年5月31日本格運用は令和8年度冬頃が目標です。
  2. ホームページ掲載(ト): 自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない

簡易診断

3問で自院の該当区分を確認

  1. 1

    オンライン資格確認を導入済みですか?

    はい: 次の確認へ
    いいえ: まず導入状況を確認
  2. 2

    マイナ保険証利用率は30%以上ですか?

    はい: 次の確認へ
    いいえ: 受付での声かけ施策を開始
  3. 3

    電子処方箋を導入済みですか?

    はい: 加算2以上の算定が可能
    いいえ: 経過措置で加算2を検討可能

経過措置や届出可否は所在地を管轄する地方厚生局の案内も確認してください。

今から準備すべきアクションリスト

以下の順番で準備を進めましょう。

  1. ホームページへの掲載対応自院のページが無い場合は経過措置。最優先)
  2. マイナ保険証利用率30%以上の確保(声かけ施策を即日開始)
  3. オンライン資格確認の再確認医科診療所の導入率92.0%、多くは対応済み)
  4. 電子処方箋の導入検討(加算1は必須。2は選択肢の一つ。補助金は2026年9月30日まで
  5. 電子カルテ情報共有サービスの確認(経過措置あり。国等が提供する電子カルテ情報共有サービスの場合は、取得情報の活用体制は必要。本格運用は2027年1〜2月目標)
  6. 届出5月7日〜6月1日必着旧制度からの自動移行なし。)

よくある質問(FAQ)

Q. 医療DX推進体制整備加算は毎月いくら加算されますか?

加算1(12点)なら1回120円です。月300人来院で初診率10%の場合、月3,600円・年間43,200円になります。2026年6月以降は再診分も加わり、同規模診療所の場合月9,900円に増加する見込みです。

Q. DX加算は何ヶ月に1回算定できますか?

初診時に月1回算定できます。同一患者でも月が変わり初診料を算定すれば算定が可能です。再診での算定は現行制度では不可ですが、2026年6月以降は月1回2点を算定できるようになります。

Q. DX加算は2026年になくなるのですか?

なくなるのではなく「電子的診療情報連携体制整備加算」に改組されます。再診・入院にも対象が広がる実質的な制度拡充です。施行は2026年6月1日。ただし届出は自動移行されないため、5月7日〜6月1日に届出が必要です。

Q. 電子処方箋に対応していなくても算定できますか?

できます。現行制度では加算4〜6(電子処方箋未導入区分)で算定可能です。新制度でも加算3(4点)は基本要件のみで算定できます。他の選択肢により要件を満たせば加算2(9点)も算定可能です。

Q. マイナ保険証利用率はどの計算方式で判定されますか?

2025年10月からレセプト件数ベースに変更されました。受付件数ベースより約10ポイント高く出るため、多くのクリニックに有利に働きます。新制度では全区分共通30%以上が要件です。レセプト件数ベースの全国平均は63%超(2025年12月時点)です。

まとめ

  1. 現行制度: 初診時に最大12点を算定可能。月300人来院なら年間約4.3万円の収入
  2. 2026年6月改組: 電子的診療情報連携体制整備加算へ。再診2点新設で旧制度比約2.0倍。届出は5月7日〜6月1日必着(自動移行なし)
  3. 利用率要件の緩和: マイナ保険証利用率は全区分共通30%。診療所平均66.53%(令和7年12月)
  4. 経過措置の活用: 電子処方箋未導入でも他の選択肢を満たせば加算2(9点)を算定可能。導入費用は補助金活用で10〜25万円
  5. まず着手を: ホームページ掲載(自院のページが無い場合は経過措置)と利用率30%の確保から始めましょう。マイナカードリーダーの初期導入時の補助は現在ありませんが、医療費助成の受給者証及び診察券のマイナンバーカードへの一体化に関する改修については補助金があります。補助金申請期限は2026年9月30日です。

次のアクション: まず自院のマイナ保険証利用率を確認し、上記のアクションリストで施設基準の充足状況をチェックしてください。未対応の項目があっても、電子処方箋に関するもの等補助金申請には期限がありますので早めに検討してください。

※本記事の情報は2026年4月時点のものです。算定要件の最終確認は所管の地方厚生局または診療報酬の専門家にご相談ください。